こんにちは!
イラストキネマのオーナー、サオリです。
ご来館ありがとうございます。
今回は映画「窓辺にて」をご紹介します。
第35回東京国際映画祭で観客賞を受賞した本作は、今泉力哉監督と稲垣吾郎さんが初めてタッグを組んだことでも話題となりました。
「窓辺にて」でキーアイテム(?)となるパフェの語源は「パーフェクト」、つまり完璧なデザートという意味です。
ところがこの映画には、どこか欠けているように見える、完璧ではない人たちばかり出てきます。
完璧ではない彼らの恋愛模様を長回しで丁寧に撮った本作の感想や、行ってみたくなるおしゃれなロケ地についてまとめました。
最後まで読んでいただけるとうれしいです。
監督 | 今泉力哉 |
キャスト | 稲垣吾郎 中村ゆり 玉城ティナ ほか |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2022年 |
上映時間 | 143分 |
映画「窓辺にて」あらすじ
フリーライターの市川茂巳(稲垣吾郎)は、妻・紗衣(中村ゆり)が浮気していることに気づくも、何も感じない自分にショックを受けていた。
ある日市川は、文学賞を受賞した高校生作家・久保留亜(玉城ティナ)と出会い、彼女の小説「ラ・フランス」の主人公にモデルがいるなら会わせてほしいと頼む。
「浮気」と聞くと修羅場を想像されるかもしれませんが、本作にそういったドロドロした場面はありません。
感情を大きく揺り動かすことのない主人公・茂巳のように、結婚生活や浮気の場面を“日常の一部”として淡々と映しています。
ですがずっと単調というわけではなく、会話の中にちょっとしたおかしさがあり、クスクス笑えるシーンも多かったです。
「窓辺にて」主演・稲垣吾郎
「窓辺にて」の主人公・茂巳を演じるのは稲垣吾郎さん。
自分の感情のとぼしさに悩む茂巳ですが、稲垣さんもあまり感情を強く表に出すイメージがなく、とてもはまっていました。
稲垣さん自身も、「妻が不倫していてもあまり感情が動かないことについて理解できる気がする」とインタビューで話しており、親近感を持って演じたことがわかります。
稲垣さんは以前から今泉作品が好きで、雑誌・ananの連載「シネマナビ!」で今泉監督の「his」や「街の上で」などを取り上げていたそうです。
「窓辺にて」監督・脚本は今泉力哉
「窓辺にて」の監督・脚本を務めたのは今泉力哉さん。
「愛がなんだ」など、どちらかというと目立たないタイプの人物を中心とした恋愛映画を多く撮っています。
今回の「窓辺にて」は、今泉さんのオリジナル脚本。
稲垣さんを主人公にすることは決まっており、10年以上前から眠らせていた「妻に浮気されたのに怒りが湧かない男」というアイデアを今回使うことにした、とパンフレットで語っています。
今泉さん自身、自分の感情をうまく表に出せないところがあるそうで、そうした部分も今回の脚本に取り入れているのかもしれません。
パンフレットには劇中で留亜が文学賞を受賞した小説「ラ・フランス」が収録されており、この文章は今泉さんが執筆されています。
市川と留亜が会うきっかけとなる小説なので、気になる方はパンフレットをゲットしてみてください。
パフェを食べたくなる「窓辺にて」ロケ地はここ!
「窓辺にて」には、おしゃれで落ち着いた雰囲気のお店が登場します。
茂巳と留亜がパフェを食べるお店や、数回登場するレトロな喫茶店など、映画を観ると実際に行ってみたくなりますよね。
そこで「窓辺にて」のロケ地であるお店をご紹介します。
珈琲亭 ルアン
映画の冒頭で茂巳が留亜の小説「ラ・フランス」を読んでいた喫茶店は、珈琲亭 ルアンです
この喫茶店は茂巳と留亜の再会シーン、茂巳と留亜の恋人・優二(倉悠貴)が会うシーンでも登場します。
昭和レトロな雰囲気漂うお店で、ここで読書したらすごくはかどりそうですね。
店名 | |
最寄駅 | |
住所 |
コトカフェ
茂巳と留亜がパフェを食べながらパフェの語源について話す印象的なシーンは、コトカフェで撮影されました。
お店のメニューを見ると映画に出てきたパフェは残念ながらないようですが、ハンバーグやアヒージョ、ケーキなどどれもおいしそうです。
店名 | |
最寄駅 | |
住所 |
下北沢 propaganda
茂巳が妻・紗衣の浮気相手である荒川円(佐々木詩音)と会うお店は、下北沢 propaganda。
妻の浮気相手と会うのだからさぞピリピリするだろうと思いきや、二人とも落ち着いて話をします。
「窓辺にて」はずっと穏やかな空気が漂っているのですが、この場面での空気感はお店の雰囲気も手伝っていたように思いました。
店名 | |
最寄駅 | |
住所 |
「窓辺にて」感想:どこまでも漂う日常感が新鮮
「窓辺にて」はとにかく長回しが多く、中でも茂巳と紗衣が話し合うワンカットは10分以上あったんじゃないかと思います。
そのためその場に流れている空気をより肌で感じられる部分がありました。
だからなのか、不倫のシーンでも“日常の一部”として見ることができるめずらしい映画です。
もちろん不倫はしてはいけないことですし、私も賛同しませんが、芸能人のそういったニュースが話題になるたび「ダメ!」一辺倒の風潮に食傷気味になっていたので
「嫌悪感を抱かせるものを、こういう日常の空気感で撮れるんだ」
と新鮮に感じました。
私はそういった現場を目撃したことはありませんが、実際の不倫ってこのぐらいゆる~い感じで行われているのかも、という感想を持った一方で“生々しさ”はないのが不思議でしたね。
そう感じさせるのが、おそらく茂巳の天然とも変テコとも言い切れない微妙なずれ具合で、会話のところどころに含まれるおかしさです。
留亜が「市川さん(茂巳)ってやっぱおもしろいですよね」と言うように、茂巳は無自覚におもしろいんですよね。
そういったおかしさが会話の節々にあって、何度もクスクス笑ってしまいました。
茂巳が自身を「感情が乏しい」と評するように、茂巳が大声で怒鳴ったり泣いたりする場面はありませんし、そういったところも想像できません。
茂巳を演じる稲垣さんも感情をあらわにするイメージがなく、すごくハマり役でしたね。
「えぇ?」の言い方がすごく良かった。
茂巳は紗衣のことが好きだったのか?
茂巳の紗衣に対する気持ちですが、
「浮気されていても何も感じないなら、奥さんのこと好きじゃないのでは?」
と思いますよね。
茂巳が紗衣のことをどう思っているのかは、明かされません。
私は茂巳は紗衣のことが好きだけど、そういった気持ちの表し方が紗衣の望んでいた表し方じゃなく、それが原因ですれ違ってしまったのではないかと思います。
この映画のいいところは、誰かの“好き”という気持ちの有無をジャッジしたり、誰かの恋愛模様にダメ出ししたりしないところです。
私自身、他人の恋愛話を聞いて「そんなの絶対好きじゃないよ!」と他人の気持ちを決めつける人が大の苦手というのもありますが、「わかりにくい“好き”があってもいいよね」という姿勢に安心しました。
“好き”という気持ちをわかりやすく表している恋愛映画が多いですが、自分でも自分の気持ちがわからなくなることって、ありませんか?
そういうあやふやで不確かなものを大事にしているところが、とても良かったです。
「窓辺にて」評価
穏やかな時間が流れる「窓辺にて」。
他の方はどう評価したのか、見てみましょう。
良い評価
- 吾郎ちゃんの演技が自然
- 押し付けがましくなくて良かった
- 波風が立つような展開はないのに、飽きない
これまでも書いてきたように、稲垣さんの演技を評価する声が多いです。
「演じている」というより、「本人そのものでは?」と思うぐらい自然でした。
その稲垣さん演じる茂巳含め、登場人物みんなどこか憎めないところがありましたね。
茂巳の気持ちもそうですが、映画も白黒つけずに終わります(そもそも簡単に白黒つけられる話でもないのですが)。
多くの映画は山あり谷ありのドラマを経てラストとなりますが、この映画にはそういったわかりやすいドラマはありません。
にもかかわらず、観ていて飽きないんですよね。
悪い評価
- 間が多く、2時間半は長く感じた
- 登場人物の心情をもっと知りたかった
- つまらないわけじゃないけど、刺さらない
「窓辺にて」は会話劇のような部分があり、会話の間も多くとられています。
そのため、スピード感のある展開が好きな方は退屈してしまうかもしれません。
また登場人物の心情についての説明はなく、こちらの想像に委ねられているところも多数あります。
いろいろ想像するのが好きな方は評価しているようですが、反対に「ハッキリさせてほしい」という方は、モヤモヤが残りそうです。
まとめ
映画「窓辺にて」のあらすじ、感想などのご紹介でした。
登場人物たちの一生懸命なのにどこか滑稽なところがおかしく、観終えた後は自分のあやふやな部分を肯定してもらえたような、そんな気分になれる映画です。
あとパフェ食べたくなる。
映画の雰囲気もそうですが、出てくるお店も落ち着いていて、ロケ地巡りをしてみたくなります。
- 長回しが好き
- クスクス笑える映画が観たい
- 自分の気持ちがわからなくなることがある
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