日本映画「怪物」巧妙な坂元裕二脚本の魅力・冒頭のみネタバレ感想

坂本裕二脚本の日本映画「怪物」ネタバレほぼなし感想

こんにちは!
イラストキネマのオーナー、サオリです。
ご来館ありがとうございます。

今回は日本映画「怪物」をご紹介します。

長野で撮影された景色の美しさも目を引く本作。

カンヌ国際映画祭で、坂元裕二さんが脚本賞を受賞したことが大きなニュースとなりましたね。

公開前から注目度が高い本作について、脚本のすごさ、冒頭のみネタバレありの感想などについて書いていきます。

結末については書いていません。

監督是枝裕和
キャスト安藤サクラ
永山瑛太
黒川想矢
柊木陽太(ひなた)
ほか
製作国日本
製作年2023年
上映時間125分
目次

日本映画「怪物」あらすじ

日本映画「怪物」あらすじ

息子の湊(黒川想矢)を女手一つで育てる早織(安藤サクラ)は、このところ息子の様子に異変を感じていた。

保利先生(永山瑛太)から暴言を吐かれた」との息子の告白に驚きを隠せない早織。

学校へ出向き校長らに「調査してほしい」と言うも、ひたすら頭を下げられるばかりで不信感を抱く。

湊の告白は事実なのか、湊のクラスで何が起こっているのか、早織、保利、湊、それぞれの視点から見ることで真相が明らかになっていく。

是枝裕和監督

是枝裕和監督が日本で撮影をするのは、なんと5年ぶり。

前作の「ベイビー・ブローカー」は韓国で撮影されました。

是枝さんといえば、台本を渡さず現場でセリフを口頭で伝えるという子役へのアプローチで有名ですが、本作では黒川想矢さん、柊木陽太さんに事前に台本を渡したそうです。

特にアプローチを変えようと思ったわけではなく、

二人が「台本を事前に読むほうがいい」と言い、是枝さんもそのほうがやりやすそうだと感じたから

とインタビューで明かしています。

「怪物」には安藤サクラさん、永山瑛太さんら、誰もが認める演技力の持ち主が出演していますが、その中でも黒川さん、柊木さんの演技は引けを取りません。

「怪物」で大事なシーンが多く撮影された廃線の車両は、一からスタッフさんが作ったもので、車内には黒川さんと柊木さんが実際に描いた絵が飾られています。

是枝さんは脚本を読んだ時に「銀河鉄道の夜」をイメージしたことから、二人にも読むよう話したそうです。

参照元:
『怪物』で胸打つ演技を見せた黒川想矢&柊木陽太。是枝裕和監督が見つめた、少年たちが“役を自分のものにする”過程
『怪物』秘密基地は「銀河鉄道の夜」をイメージ!是枝監督の想像を超えた名シーン秘話

カンヌ脚本賞受賞!坂元裕二が描く「怪物」

「怪物」の脚本を担当したのは坂元裕二さん。

ドラマ「東京ラブストーリー」や映画「花束みたいな恋をした」などの脚本でもおなじみで、坂元さん脚本の作品はどれも話題になるほど人気です。

坂元さんといえば恋愛ものの印象があるので、「怪物」の予告編を見て「あれ?」と思ったかたもいるかもしれません。

ですが坂元さん脚本のドラマ「カルテット」でも、登場人物の謎に迫る展開がありました。

坂元さんは「怪物」を執筆する際のきっかけとして、運転中の出来事を明かしています。

以前、車を運転して赤信号で待っていたら、トラックが止まっていて、信号が青になっても、しばらく動かない。

プップーと、クラクションを鳴らしたところ、それでも動かない。

ようやく動いたら横断歩道に車いすの方がいて。

トラックの後ろにいた私は、それが見えなかった。

クラクションを鳴らしてしまったことを後悔していまして

『怪物』を観た後に残った違和感を考える “わかりやすさ”と引き換えに手放したのもの

知らなかったとはいえ、自分の行動や選択を後悔すること、ありますよね。

さらに坂元さんはこうも語ります。

自分が被害者だと思うことは敏感だが、加害者だと気付くのは難しい

直接関わっていなくても、自分の目だけで見た物事をどう解釈したかで気づいていなかった固定観念に気づかされることもあります。

その解釈の仕方に罪悪感を抱くことも。

『怪物』を観た後に残った違和感を考える “わかりやすさ”と引き換えに手放したのもの

「怪物」はそんな自分では気づいていなかった物事の見方を浮き彫りにする、ちょっと怖いところがあります。

「怪物」ほんのりネタバレ感想:キャスト全員の演技がレベチ

日本映画「怪物」のほぼネタバレなし感想は「とにかくキャストの演技がすごい!」

感想にほんのりネタバレを含みますが、結末は明かしていません。

「怪物」は早織、保利、湊の三つの視点で構成されています。

早織視点では息子の湊が「保利先生に暴言を吐かれた」という衝撃的な告白をし、学校側の不誠実な対応、保利の不審な言動に「なんて先生なんだ」と怒りが湧きました。

ですが、保利の視点になると「さっき聞いた話と違うぞ?」となり、事実がわからなくなります。

混乱したところで湊視点に切り替わり、真相が明らかになる…という構成で、謎が解けたと思ったらまた新たな謎が出てきて、最後まで夢中にさせる脚本は、さすが坂元裕二さん!

湊視点で明らかになる真実がまた切なくて、知らずに観たほうが楽しめるので結末は明かしませんが、結末を知ってから観ても楽しめると思います。

是枝作品といえば子役の自然な演技も有名で、本作でも湊役の黒川想矢さん、星川依里役の柊木陽太さんがすごくリアルに演じていました。

保利先生がデート中、恋人に「その顔怖いよ」と言われた笑顔も、ここぞという場面で映されて

「この時保利先生はどう思っているんだろう?」

と感情が読めないんですよね。

保利先生、こうやって周りから誤解されてきたんだろうなぁ…。

この表情をつくれる永山瑛太さんも、終始目が死んでいる校長先生を演じた田中裕子さんもすごいですし、とにかくキャストの演技に

「今私、すんごいもの見ちゃってる」

と思いました。

「怪物」の評価

世界的にも評価された映画「怪物」。

観た人はどのように評価しているのか、見てみましょう。

映画.comのレビューを参考にしています。

良い評価

  • ラストが美しい
  • 俳優陣の演技がすごすぎる
  • 最初から最後まで惹き込まれる

「怪物」は終盤にならないと、何が起こっていたのかわかりません。

物語が進むにつれ「どういうこと?」と惹き込まれ、最後まで集中が途切れることなく楽しめます。

さすが坂元裕二さんの脚本!

そうして迎えるラストが切なくも清々しく、美しいんですよね。

また俳優陣の演技も高く評価されています。

ストーリーを楽しめなかったとしても、演技を見るだけで圧倒されるでしょう。

悪い評価

  • 親の立場で見ると辛い
  • 登場人物の行動が不可解
  • アレをサプライズ的に使っているように見えてちょっと…

「怪物」は教師の児童虐待疑惑から始まるため、お子さんがいらっしゃるかたは辛くなってしまうかもしれません。

子どもがいない私でも感情移入して辛くなりました。

「登場人物の行動が不可解」という点は、私も「この状況でこんなことするかな?」と思う場面があったのですが、どうも人間の滑稽さを表していたようです。

https://twitter.com/gagararafufu/status/1665755008254738432

元のインタビューはこちら

とはいえ、湊の母・早織に感情移入している状態でこのシーンを見ると

「こんなに真剣に話しているのに、なんでそんなことするの?」

としか思えないんですよね…。

このあたりは早織に感情移入するかしないかで評価が変わりそうです。

また終盤で明らかになる真実について「アレをネタとして使うのはどうなの?」と思う人もいるかもしれません。

私の印象としては、おもしろ半分でネタとして使ったとは思えず、専門家の助言を受けながら撮影が行われたことから、キャストと当事者に配慮していると思いました。

この真実についてはネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、「怪物」が受賞した賞やインタビューなどから予想できてしまう部分もあります。

「ネタバレ一切なしで楽しみたい!」という場合は、あらかじめ情報を調べず劇場へ行くのがおすすめです。

まとめ

日本映画「怪物」のご紹介でした。

坂元裕二さん脚本ということで期待が高まる本作。

期待以上のおもしろさで、最後までドキドキしながら楽しめること間違いなしです。

結末を知ってから観ると、最初は気づけなかった伏線に気づけるかもしれません。

とはいえ「やっぱり最初は結末を知らずに観てほしい」と思ったので、感想はできるだけネタバレなしとしました。

何度も書いているように、キャストの演技も素晴らしいです。

“怪物”は誰なのか、子どもたちの間で何が起こっていたのか、ぜひ劇場で見届けてください。

上映館はこちらで確認できます。

無料相談受付中

「絵が上手くなりたいけどどうしたらいいか、わからない」

「イラストレッスンに興味があるけど、どれを選んだら…」

そのお悩み、ぜひご相談ください!

挫折・失敗の経験がある私が、あなたに合った本やレッスンをご紹介します。

  1. 今まで試した本やレッスン
  2. 気になっている本やレッスン
  3. 好きなイラストレーターさん

も教えていただけると具体的なアドバイスができますので、ぜひお書き添えください。

絵のご相談だけでなく、

  • あの映画どうだった?
  • この映画もおもしろかったよ!

といった映画のお話も大歓迎です!

どうぞお気軽にご連絡ください。

イラストキネマのオーナー、サオリでした。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次