こんにちは!
イラストキネマのオーナー、サオリです。
ご来館ありがとうございます。
今回は映画「北極百貨店のコンシェルジュさん」をご紹介します。
第36回東京国際映画祭アニメーション部門に公式出品された本作。
さらに韓国で開催されたプチョン国際アニメーション映画祭では、観客からの着目が最も高かった作品に贈られる、韓国漫画アニメーション学会長賞を受賞!
世界的にも評価されています。
かわいらしくいきいきとしたアニメーション映画の原作は、西村ツチカさんの同名マンガ。
2017年にビッグコミックで連載され、今回の映画化を記念した特装版が販売されています。
さて、こうした原作がある映画は、原作を読まなくても楽しめるのか気になりますよね。
本記事では、原作を読まずに映画を観て、その後に原作を読んだ感想を正直に書いています。
原作ファンの方も、そうでない方もぜひ読んでみてくださいね!
監督 | 板津匡覧 |
キャスト | 川井田夏海 大塚剛央 飛田展男 津田健次郎 ほか |
製作国 | 日本 |
制作年 | 2023年 |
上映時間 | 70分 |
映画「北極百貨店のコンシェルジュさん」あらすじ
従業員は人間、お客様は動物の北極百貨店。
新人コンシェルジュ・秋乃(川井田夏海)は、先輩やフロアマネージャーに見守られながら働いていた。
V.I.A(ベリー・インポータント・アニマル)と呼ばれる絶滅危惧種の動物のお客様を相手に奮闘する秋乃だったが…。
お客様は動物というメルヘンな設定ですが、登場する絶滅危惧種は本当に存在していた動物で、絶滅の理由も劇中で紹介されます。
“お客様第一”を掲げるコンシェルジュは、果たしてどこまでお客様に寄り添うべきか、接客業の方に刺さりそうな場面もありました。
お仕事に真面目に取り組む方、元気をもらいたい方におすすめです。
「風立ちぬ」の原画に参加!板津匡覧監督
「北極百貨店のコンシェルジュさん」の監督を務めたのは、板津匡覧さん。
18歳からアニメ業界に入り、ジブリ作品「風立ちぬ」や、カルト的人気を誇る今敏監督の「パプリカ」に原画として参加した経験をお持ちです。
板津さんは、本作の原作を描いた西村ツチカさんのファンで、本作は連載当時から読み、切り抜いて保管するほどの熱っぷり。
この切り抜きは、単行本未発売だった時期に制作の打ち合わせをする際に大いに役立ったとか。
コンシェルジュOB・丸木さんの映画でのビジュアルが連載時のものなのは、そのためだそうです。
映画を観ると、小物、背景、主線、色、画面の隅から隅に至るまでこだわっていることが伝わってきます。
「北極百貨店のコンシェルジュさん」原作は西村ツチカのマンガ
「北極百貨店のコンシェルジュさん」の原作は西村ツチカさんの同名マンガで、第25回文化庁メディア芸術祭マンガ部門の優秀賞を受賞しています。
西村さんは小さい頃、好きなマンガを模写していたのがきっかけでマンガを描くようになったそうです。
特に大友克洋さんの「AKIRA」やトーベ・ヤンソンさんの「ムーミン」の絵を好んで描いていたとか。
確かに「ムーミン」の雰囲気あるかも。
「北極百貨店のコンシェルジュさん」は、西村さんが大型百貨店で働いていた時にきらびやかな売り場を眺めて生じた不条理な感覚が動悸となったそうで、映画でも秋乃が似た感情を抱くシーンがありました。
マンガの巻末を見ると、絶滅動物やおもてなしについての参考文献が並んでいて、きちんと下調べして描いたことがわかります。
映画化を記念して特装版が販売されていますので、気になった方はぜひ原作も読んでほしいです。
「北極百貨店のコンシェルジュさん」原作読了前の感想
上でも書いたように、「北極百貨店のコンシェルジュさん」は西村ツチカさんのマンガが原作です。
原作がある映画って、原作を読んでいるかいないかで印象が変わりますよね。
原作を読んでから観るか、読まずに観るか迷いましたが
「読まないほうが映画として、より楽しめるかな」
と思い、読まずに観ることにしました。
原作を読まずに観て楽しめるか、検証できると思いまして。
とはいえ、西村さんの絵がかーなーり好みだったので、公開前に原作(と画集)は購入しましたw
さて肝心の原作未読での感想は
「超っかわいいっ!」
の一言に尽きます。
西村さんの絵柄がもともとかわいいというのも、ありますが
- 小物
- 背景
- 色使い
も非っ常にかわいくて、もうずーっと幸せでした。
香水やバッグ、背景のイスや台にいたるまでかわいくて、特に色使いは見ているだけでわくわくするほどで見惚れること間違いなしです。
背景や小物、場面によってキャラクターの主線の色を変えているのも印象的で、ワンカットワンカットの完成度の高さから西村さんへのリスペクトを感じました。
この映画、どのシーンで止めても絵になると思う。
主人公・秋乃の頑張りと、お客様の温かい交流に涙する場面もあり、期待を上回る満足度でした。
なので原作を読んでいない人も楽しめますよ。
原作を読むとさらに感動
映画を観た後に原作を読むと、
「映画としてかなりうまく話をつなげていたんだな」
と驚きました。
原作は秋乃が1話ごとにお客様のお困り事を解決する1話完結型なのですが、映画は各エピソードをうまーく要所要所に配置して、1本の映画として成立させています。
たとえば映画では、ケナガマンモスのウーリー(津田健次郎)が重要キャラとしてちょくちょく登場しますが、原作では5話にしか登場しません。
脚本を担当された大島里美さんが
「原作の魅力的なエピソードをどのように一つの物語に集約していくかという部分を主に考えていました」
とパンフレットで語っていたことから、かなり注力されたんじゃないかと思います。
またアニメになったことで、あの世界に色がついてキャラクターが動いてしゃべっていたことに改めて感動しました。
どれもイメージ以上で、「こんなに魅力的な世界だったんだ!」とより愛おしくなりましたね。
原作を読まなくても楽しめる映画ですが、原作を読むと感動と愛着が増しますし、
何よりスタッフさんへの感謝が止まりません。
映画を観て気になった方は、ぜひ原作も手に取ってみてください。
「北極百貨店のコンシェルジュさん」評価
愛らしいキャラクターが魅力的な「北極百貨店のコンシェルジュさん」。
観た人のレビューを見ていきましょう。
良い評価
- 原作の再現力がすごい
- 声優さんの演技に惹き込まれた
- お客様が動物である理由がちゃんとあった
監督さんがもともと原作のファンというのもあって、原作へのリスペクトが随所に感じられましたね。
原作があると、どうしても「イメージと違った」ということが起こりがちだと思うのですが、本作ではそういったことがあまり起こらない気がしました。
各キャラクターの動きや表情が性格や状況を表していて、ややコミカルではあるもののアニメ独自の表現として、見ていて楽しかったです。
声優さんの演技もとても良かったですね。
中でもケナガマンモスのウーリーを演じた津田健次郎さんが評価されています。
マイエンジェル、ツダケン。
津田さん以外にも中村悠一さんや花澤香菜さんといった人気声優さんも器用されていて、声の演技も楽しめますよ。
悪い評価
- 短編をつなげたようなぶつ切り感が気になった
- 秋乃の振る舞いがコンシェルジュとしては不適格
- 北極百貨店の成り立ちがふんわりしているように感じた
原作はほぼ1話完結型なので、各エピソードをつなげた感は確かにあるかもしれません。
ただ原作を読むと、映画にするためにうまくつなげていることがわかります。
私は原作を読む前でも違和感を感じませんでした。
映画冒頭の秋乃の振る舞いや動きがコンシェルジュとしてふさわしくない、店側の研修がいい加減では、という評価も。
私はがっつり接客業で働いた経験がないのでわかりませんが、同業者が見ると気になることがあるのかもしれません。
秋乃の成長を表現するため、最初はあえて秋乃の失敗にフィーチャーしたり、アニメとして大げさな動きをつけたのではないかな、と私は思っています。
また北極百貨店のお客様が絶滅危惧種であるのもきちんと理由があるのですが、そこを深く掘り下げないところが気になった、という方も見かけました。
登場する絶滅危惧種のほとんどが、人間の手によって絶滅してしまった点はシリアスで、マンガでも映画でもそのシーンはちょっと重たい空気が流れるんですね。
ただ、この物語はあくまでも「秋乃の成長お仕事ストーリー」なので、このぐらいの触れ方がベストじゃないかな、という気がします。
まとめ
映画「北極百貨店のコンシェルジュさん」のご紹介でした。
原作を読まずに観ることにやや不安はありましたが、そんな不安は消し飛ぶほどの出来でした。
とはいえ、西村ツチカさんの絵は見ているだけで心がときめくかわいさですし、映画では描かれなかったエピソードもあるので、ぜひ原作も読んでほしいです。
個人的には丸木さんのサンタ姿がツボ。
ひたむきにお客様と向き合う秋乃の姿に「私ももうちょっと頑張ろうかな」と元気をもらえます。
さらに11月10日(金)まで、入場者プレゼントとして描きおろしビジュアルボードを配布中!
上映時間も70分と短めなので、ぜひ気軽に観に行ってみてくださいね。
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イラストキネマのオーナー、サオリでした。
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