こんにちは!
イラストキネマのオーナー、サオリです。
ご来館ありがとうございます。
先日「PLAN75」という映画をご紹介しました。
満75歳以上に自身の生死を選ぶ権利が与えられる、近未来の日本が舞台の映画です。
この映画を観て、働かずにただ生きることの難しさを痛感しました。
私のように
「他の人がただ生きるのはいいと思えるのに、自分がそうなるのはちょっと…」
という方も多いのでは。
今回はそんな方が人生に疲れた時に観ていただきたい、おすすめの映画を3本と本を1冊ご紹介します。
「誰かの役に立っている」という実感がなくても、うまく社会になじめていなくても、
「生きてていいんだ」
と少しでも気が楽になったらうれしいです。
人生に疲れた時「生きてていい」と思えるおすすめ映画と本
やりたくないことをやらなきゃいけなかったり、頑張ったのに上手くいかなかったり、生きていくのって大変ですよね。
いたって平凡な人生を歩んできた私でも、ある程度歳を重ねてから
「この年まで無事に生きてきたのって、実はすごいことなのかも」
と思うようになりました。
仕事、人間関係、お金、将来のことなど、生きていくうえで不安材料はいっぱいあります。
「生きてくのしんどいな」
と一度は思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな人生に疲れた時におすすめの映画と本をご紹介します。
どら焼きが食べたくなる「あん」
1本目の映画はどら焼き屋さんを舞台にした「あん」。
刑務所を出所した千太郎(永瀬正敏)はどら焼き屋の店長として働いていた。
ある日、千太郎の店で働きたいと老女・徳江(樹木希林)がやって来る。
徳江が作る粒あんは評判となり店は繁盛するが、徳江についてある噂が流れ始めた。
千太郎と徳江が朝早くから粒あんを作るシーンがあるのですが、
「あんってこんなに手間かかるの!?」
と驚くこと間違いなしです。
この映画観てからちゃんと味わうようになった。
どこか人生を諦めているような千太郎でしたが、徳江と関わるうちに心を開いていき、仕事にも打ち込むようになります。
その徳江が最後に言うセリフがとてもいいんですよね。
初めて観た時
「あ、生きていくのってそれだけでいいんだ」
と、すごく気が楽になったのを覚えています。
私は「生きる意味」とか考えないたちで、「人生の使命」というものとは無縁の気楽な人生をおくってきたつもりでしたが、それでもどこか肩に力が入っていたようです。
観終わった後はどら焼きを食べたくなること間違いなしなので、ちょっといいとこのどら焼きを用意して観ましょう。
小石だってなにかの役に立っている「道」
2本目の映画はイタリアを代表する巨匠フェデリコ・フェリーニの名作「道」。
知的障害のある小柄な女性・ジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)は、大道芸人のザンパノ(アンソニー・クイン)の助手として各地を回っていた。
女好きで乱暴なザンパノに愛想を尽かし始めるジェルソミーナ。
旅の途中で道化師イル・マットと仲良くなったジェルソミーナは、イルの話から元気をもらう。
そうしてザンパノと生きていくことを決意したジェルソミーナだったが…。
主役のジェルソミーナを演じたジュリエッタ・マシーナは、公私ともにフェリーニのパートナーでした。
浮気を重ねたフェリーニと浮気されたジュリエッタの関係は、そのままザンパノとジェルソミーナに重なります。
さて「道」の名場面といえば、イルがジェルソミーナに「役に立たないものなんてない」と話すところ。
「道端に転がっている小石だって、なにかの役に立っている」
私はこのイルのセリフに「そうかもなぁ」と納得してしまうんですよね。
というのも、何にも影響を与えないものってないと思うんです。
たとえば2005年に制作された「クラッシュ」という映画では、面識のない人々が知らないうちに影響を与え合います。
誰からどんな影響を受けてこの結果になったのか、誰にもわかりません。
ですが「もしかしたら現実でもこんなことが起こっているのかもしれない」という説得力があります。
デヴィッド・フィンチャーの映画「ベンジャミン・バトン」でも人々のちょっとした動きがヒロインの運命を大きく変えてしまう場面がありました。
いつの間にか知らない人の役に立っていたり、あるいは傷つけていたり、私たちが知らないだけでそんなことがしょっちゅう起こっているのかもしれません。
イルの言うように、なにかの役に立っている可能性は充分にあります。
「自分が知らないだけで、誰かの役に立っているのかもしれない」
そう思えて少し気が楽になる映画が「道」です。
「I Love You」に感動するなんて!?「FRANK フランク」
3本目の映画は「FRANK フランク」。
あるバンドの物語をコメディタッチで描いた映画です。
ミュージシャンへの憧れを捨てきれない青年・ジョン(ドーナル・グリーソン)は、ひょんなことから変わったバンドに加入することに。
バンドのリーダー・フランク(マイケル・ファスベンダー)は常に奇妙な被り物をしているが、音楽の才能がありメンバーから信頼されていた。
ジョンは「バンドが売れるために」と動画サイトにバンドの映像を投稿。
それが話題となり大型フェスに招かれるが、徐々に雲行きが怪しくなっていく。
フランクを演じたのはマイケル・ファスベンダー。
2013年に「世界で最もハンサムな顔100人」の1位に選ばれた彼に常時被り物をさせる、思い切った映画です。
「ミュージシャンや画家などクリエイティブな仕事をしている人はどこか変わっている」というイメージはいまだ根強く、「FRANK フランク」の登場人物も軒並み変わり者。
「普通」と言えるのはジョンぐらいで、バンドのメンバーはフランク含め社会不適合者の匂いがプンプンします。
ですが、このメンバーが集まって演奏する曲がすごくいいんです。
エンドロールで流れる「I Love You All」は、欠点も含めてまるごと抱擁してくれているようで、この映画にぴったりの名曲。
初めてこの映画を観た時、
「I Love You」なんて散々使い古された言葉に感動するとは!
と驚きました。
どこか欠けているバンドメンバーが寄り添って音楽を奏でる姿には、
「欠点があるからこそ、わかりあえる人がいるかもしれない」
という希望を感じます。
コメディ映画なので、全体的に笑える点もおすすめです。
働きたくない気持ちを肯定してくれる本「ニートの歩き方」
ここまで映画をご紹介してきましたが、「生きてていいんだ」と思わせてくれるものは映画以外にもあります。
たとえば“京大卒のニート”で有名なphaさんの本もそうです。
phaさんの本は、どれも読み終える頃にはいい具合に肩の力が抜けてリラックスできる特徴があります。
今回はその中から、初めてphaさんが出版した「ニートの歩き方」をご紹介。
この本は、お金がなくても楽しく暮らすための生き方と考え方について、phaさんの実体験を交えて書かれています。
私が初めて読んだphaさんの本であり、当時仕事にまいっていた心をずいぶん楽にしてくれた思い出深い本です。
「学校を出たら働かなければいけない」と思い込んでいた私にとって
「働かなくても生きていていい」
という考え方は衝撃でしたね。
当時の私の勤め先は給料が安く、長く勤めてもさほど給料が上がらない会社でした。
辞めたいものの次の仕事を見つける暇もなく、惰性で仕事を続けていたところに人の命が関わりかねない仕事を無茶ぶりされそうになっていた私の元に、源泉徴収票が届きます。
そこに記載されていた1年間の給料を見た瞬間、糸が切れるような「プツッ」という音が聞こえ、新年一発目に
「あけましておめでとうございます。辞めます」
と会社に電話しました。
今じゃ笑い話のネタとして使いまくってる。
この会社で働いていた時と、その後しばらくフリーターとして時給のいいバイトをしていた時の収入がほとんど変わらず、なんともいえない複雑な気持ちになったのも、まぁ、いい…思い出……です…。
「いい年してバイトなんてとんでもない!」を「全然あり」に変え、退職後の不安を和らげてくれた「ニートの歩き方」は、私にとって本というより、もはや恩人。
もちろんある程度年がいってからのフリーターは白い目で見られることもありますし、手放しでおすすめできるものではありません。
正直私もフリーターだった頃、どことなく引け目を感じていましたw
それでも「選択肢の一つとしてあり」と考えるだけで、ずいぶん気が楽になったのをおぼえています。
同じように働くことで悩んでいる方に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
人生に疲れたサオリが「生きてていい」と思えたとき
私は豆腐メンタルなので、「あーもー消えちゃいたい」と思ったことは数え切れないぐらいありますw
そんなときは、この記事で紹介している映画や本にずいぶん救われましたね。
ですがそれ以外で「生きてていい」と思えたときってあったかな…と頭を絞って考えたものの、悲しいことに思いつきませんでした。
「生きてていいのか」という疑問は、おそらく普通に生活しているときではなく、ものすごく落ち込んだり大きな失敗をしたりしたときに浮かび上がると思うんですよね。
つまり非常事態。
自分が生きてることに疑問を感じたら、まずは休みましょう。
休めない、休んでも不安、という場合は、この記事で紹介した映画や本を手にとっていただけたらと思います。
まとめ
人生に疲れた時におすすめの映画と本のご紹介でした。
「元気が出る」というと大げさですが、どれも観た・読んだ後は気が楽になります。
自分でも気づいていなかった固定観念に気づかされたり、「そういう考え方もあるんだ」という発見があったりと、視野を広げてくれました。
「生きる」という言葉には、なんだか高尚で哲学的な響きがありますが、そんなに気負わなくても生きるだけで立派だと思います。
この記事を読んで、少しでも「生きてていいんだ」と思ってもらえたら、うれしいです。
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イラストキネマのオーナー、サオリでした。
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