こんにちは!
イラストキネマのオーナー、サオリです。
ご来館ありがとうございます。
あなたは映画がきっかけで好きになった曲、ありますか?
劇中で流れていた曲について調べたり、サントラを買ったりしたことがある方は多いと思います。
私も映画をきっかけに好きになった曲がたくさんあり、数年前から映画で使われている音楽を集めたプレイリストをちまちま作っている最中です。
そのプレイリストの20曲のうち、グザヴィエ・ドラン監督の映画で使われているものは6曲。
一人の監督がプレイリストの4分の1以上を占めているといえば、どれだけセンスいいか伝わるでしょうか。
今回はそのグザヴィエ・ドランの映画と音楽をご紹介します!
映画監督グザヴィエ・ドラン
グザヴィエ・ドランは1989年、カナダのモントリオールで生まれました。
映画監督としてデビューしたのは2009年。
完成当時は19歳という若さでありながら、デビュー作「マイ・マザー」はカンヌ国際映画祭に出品されました。
デビュー作では監督だけでなく主演も務め、俳優として他監督の映画でも活躍している彼。
「グザヴィエ・ドランの映画は観たことがなくても顔は知ってる」という人もいるかもしれません。
なんせ「イケメン」って言葉が安っぽく響くぐらいのご尊顔なので。
グザヴィエ・ドランのプロフィールや関連作などについてはこちら!
グザヴィエ・ドランの監督作品を観た感想
グザヴィエ・ドランの監督作品は数本しか観れていないのですが、私は彼の映画のテーマは“愛”だと思っています。
“愛”といってもハッピーな側面でなく、「愛し愛されてるってだけじゃずっと一緒にいられないよね」という、“愛するゆえの苦悩”を描いています。
「愛さえあれば幸せ」って映画は嘘くさくて白けちゃう、って人にこそ観てほしいです。
いわゆる“重い映画”とはちがって希望と喜びがあるので、観た後ずどーんと落ち込むことはないと思います。
彼の映画を見ている時に生じる感情を日常生活で感じることはなく、唯一無二の映画体験をさせてくれる監督です。
なので感想を言葉にするのにとても時間がかかりますし、「なんて言ったらこの気持ちは伝わるんだろう」ともどかしくなりますが、ここまで悩ませるほど感情をかき乱す映画は他に知りません。
日常生活が地球なら、ドラン映画は宇宙。
グザヴィエ・ドランの音楽のこだわりと評価
「音楽は映画にとって大事な要素」というのは知っていたつもりでしたが、映画における音楽の効果を実感させてくれたのは他ならぬグザヴィエ・ドラン映画でした。
単に映像と音楽が合っているだけでなく、音楽を流すことで登場人物の考え方や感情を想像させ、登場人物をより多面的に見せています。
映画で使われた曲を聴くとそのワンシーンを思い出すのはもちろん、観ていた時の感情までありありとよみがえるのは、他の映画とは比べものにならないほど観客に感情移入させるグザヴィエ・ドランの手腕によるものでしょう。
彼の音楽の使い方・選曲センスを評価する人は少なくありません。
彼は音楽について問われた際、こう語っています。
歌は僕が創造した登場人物の人生に寄り添う存在なんだ。登場人物たちに自分が何者かを思い出させ、彼らが愛した人々を喚起させる。音楽は、忘れられた人々を忘却から呼び戻し、悲しみを和らげ、罪のない嘘、打ち捨てられた野望の数々を思い起こさせるんだ。音楽には、僕ら個人の感情に働きかける力がある。(中略)音楽は映画の魂と言われる。その理由は明らかだ。音楽は観客との究極の対話なのだから。
映画監督・Xavier Dolan(グザヴィエ・ドラン)インタビュー:the fashion post
グサヴィエ・ドランのドキュメンタリー「バウンド・トゥ・インポッシブル」でも「(音楽を流すことで)観客との間に対話が生まれて、親密な関係を築くことができる」と語っていることから、彼の映画には音楽が欠かせないのは明白です。
撮影前に俳優・スタッフに映画で使う楽曲を聴かせることからも、音楽を通してコミュニケーションをはかろうとする姿勢がうかがえます。
また音楽からひらめきを得てセリフを思いついたこともあると、同ドキュメンタリーで語っていました。
彼にとって音楽は「映画の一要素」ではなく「創造の源」なのかもしれません。
そんなグザヴィエ・ドランの映画と音楽についてご紹介します。
マイ・マザー
まずは映画監督デビュー作の「マイ・マザー」。
本作は主演もグザヴィエ・ドランが務めており、母親に複雑な感情を抱えた少年・ユベールを演じています。
「服の趣味が悪い」とか「話が通じない」といった、“お母さんあるある”が散りばめられている本作。
“お母さんあるある”といっても、ほのぼのした雰囲気のものではなく、かなり殺伐としています。
母親が無自覚で自分の聖域といってもいい領域を土足で踏み荒らしてくることへの怒りと憎しみは、思春期に戻ったかのような強烈な共感を呼び起こすのです。
ある程度歳をとると「子どものことを考えてくれてたんだろうな」と理解できるようになりますが、その理解もどこかへ吹き飛んでしまうほどのインパクトがあります。
そんなインパクトある映画に使われている曲が、Vive la Fêteの「Noir Désir」。
ユベールと恋人との、世にもめずらしいペンキまみれのラブシーンに使われており、聴いていて頭がしびれる感じがひたすら心地いいです。
わたしはロランス
お次は男女の恋愛に主軸を置いた「わたしはロランス」。
「女になりたい」と願う教師のロランスとその彼女・フレッドの10年間にわたる物語です。
「もう自分を偽らない」と決めたロランスが女物の服に身を包んで出勤し、学校の廊下を歩くシーンで流れるのがHeadmanの「Moisture」。
周りからの好奇の視線に負けず堂々と廊下の真ん中を歩くロランスと、字幕で流れる「Moisture」の歌詞が最っ高に爽快です。
やっと本当の自分で外に出られたロランスの気持ちを思うと、心の中でガッツポーズを決めずにはいられませんでした。
グザヴィエ・ドラン映画で一番好きな場面と曲を選べと言われたら、私はこのシーンを挙げます。
そして終盤で流れるのがクレイグ・アームストロングの「Let’s Go Out Tonight」。
先ほどの「Moisture」とは対照的なしっとりとした音楽で、映画の余韻にひたらせてくれます。
Mommy
最後にご紹介する映画は「Mommy」。
タイトルからも想像できるとおり、母(ダイアン)と子(スティーブ)の物語です。
グザヴィエ・ドラン映画の中でも厳しさの度合いが突き抜けている本作。
希望と絶望のアップダウンが激しく観ているのが辛くなるほどですが、ラストは希望を感じさせてくれます。
この映画で最も印象的に使われている曲がこちら。
「Wonderwall」がほぼフルで流れるのもすごいのですが、注目すべきは曲が流れている時の画面の使い方!
「こんな画面の使い方あったの!?」って衝撃と開放感は間違いなく記憶に残ります。
この映画観たことある人に「あのシーン」って言えば大体伝わる。
予告編で使われているのは、ワンリパブリックの「Counting Stars」とエリー・ゴールディングの「Anything Could Happen」。
どちらも本作への期待を高めてくれます。
グザヴィエ・ドラン映画のサントラ
さてグザヴィエ・ドランの映画に使われている音楽について書いてきましたが、ここで非常に残念なお知らせです。
なんと本記事でご紹介した映画のサントラ、出ていない模様。
そのかわり(?)、「Mommy」と「わたしはロランス」の使用曲は公式サイトで、「マイ・マザー」のプレイリストはYouTubeで公開されています。
ここまでしてくれるなら、いっそサントラを出してほしいところですが、出ていないものは仕方ありません。
こうなったら自分でプレイリストを作ってしまいましょう!
アデルのミュージックビデオも監督したグザヴィエ・ドラン
グザヴィエ・ドランは映画だけでなく、ミュージックビデオ(MV)も何本か監督しています。
1本目はイギリスの歌手・アデルの「Hello」。
彼女はワンリパブリック(「Mommy」の予告編で曲を使われていたバンド)のライアン・テダーをプロデューサーとして起用したことがあるという、意外なドランつながりが。
そしてその後「Easy On Me」でも再びタッグを組んだアデルとグザヴィエ・ドラン。
こちらのMVは、「Hello」のMVで使用されたのと同じ家から始まっています。
アデルだけでなく、フランスのバンド・アンドシーヌ「College Boy」のMVのメガホンもとっています。
実はこのMV、映画「Mommy」の前身的作品。
このMVに出演しているのは「Mommy」でスティーブを演じたアントワン=オリビエ・ピロン。
そしてアスペクト比1:1の画面も「Mommy」と共通しています。
なんでもこのMVの撮影中に1:1の画面がもつ効果に気づき、「Mommy」で採用したとか。
ちなみにこの比率を提案したのは撮影監督のアンドレ・テュルパン。
「1:1の比率が好きだったが映画で使う機会がなく、ずっと試してみたかった」と「バウンド・トゥ・インポッシブル」で語っています。
まとめ
グザヴィエ・ドラン監督映画と使用曲、ミュージックビデオをご紹介しました。
気になった映画や曲はありましたか?
グザヴィエ・ドランの映画を観た後は、感情が限界突破して頭がまともに動かなくなって音楽を聴けばまた映画を思い出して…と映画のことで頭がいっぱいになります。
私もまだ観れていない彼の監督作が何本かあり、「観たい」と思いつつ観た後のことを考えるとなかなか手が出せないぐらいハードです。
でもそんな大変な状態になっても観る価値があります。
映画を先に観るのも良し、音楽から入るのも良し、なグザヴィエ・ドラン映画。
ぜひ、ぜひ観てみてください。
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